病院の廃院や休止で
昨今、病院の経営難、および医師不足による廃院や、診療科の閉鎖が多く聞かれます。特に産婦人科は激務で医師の確保が難しいことが理由としてあるとともに少子化の影響もうけ、診療科の閉鎖のニュースを聞くことが絶えません。これは人口過疎地域の問題だけではなく、都会でも同じ現象が起きています。また、開院する病院が毎年数百件あるのと同じく廃院する病院も増え、全体的に病院の現象がみえます。これは看護師の一番大きな就業先が減少してしまうという重大な問題でもあるのです。
【産婦人科】
産婦人科で分娩の取り扱いを中止、休止するところが多く、県から周産期母子医療センターに指定されているような地域の拠点病院であっても、医師の確保が難しく、全国各地で産科休止に追い込まれる病院が各地で相次いでいます。都市部でも都心のベッドタウンとなって周辺地域でも深刻で「地元で赤ちゃんが産めない」現象が発生しています。個人病院や医院で出産時の問題が起こっても第二次救急医療機関が対応できないために、患者がたらい回しにされて結局、死亡に至ることもよく聞きます。産婦人科には通常の看護師の他、助産師もたくさん働いています。これらの廃院や産科休止は看護師たちの職場をなくし、あらたな就職先を求めざるを得なくしています。資格がありますから、別の病院で、別の診療科で働くことも可能ですが、産科を志望して看護師や助産師(特に助産師)になった人にはつらい選択になることになります。
【一般病院】
公立の病院においても、医師不足のため救急受付・夜間受付を休止するところが出ている中、特に地方の一般病院では事態はもっと深刻です。
(2007年)(前年から1年間の)
病院数|廃止数|休止数
医療法人| 5702| 92 | 10
個人 | 533| 33 | 2
その他 | 2627 | 50 | 4
この表から見ると、年間175もの病院が廃止になっており、また休止数も16院にのぼります。また、病床数を病院規模で見ると以下のようになります。
2007年 | 2008年 増 減
20~ 99床 | 3482 | 3391 | -91
100~199床 | 2709 | 2725 | 16
200~399床 | 1911 | 1913 | 2
400床以上 | 841 | 833 | -8
※ 200~399床の病院が100~199床に病床数を変更した件数が24件(逆の増床は8件)、400床以上の病院が200~399床に変更した件数が12件(増床は2件)
ここから、病院数や病床数の減少で看護師の職場が失われていることがわかります。
早期に廃止や休止がわかれば、それに対応することもできるのでしょうが、病院経営者がぎりぎりまでその選択を秘匿して、看護師がスムーズに転職できない場合もあります。